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【白い巨塔】芦田愛菜さん(46歳)が教授選に出る話 第三話

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第一話はこちら

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 第二話はこちら

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慶応大学の次期教授戦の一次審査が始まった。

 

かの有名な芦田愛菜准教授が出馬するという情報が流れてるせいもあり、

周りの大学から応募する者などなかなかいなかった。

 

その中で、芦田愛菜准教授と同じ医局にも関わらず教授戦に応募した鈴木福助教の心中は穏やかでは無かった。

 

このままでは、一次審査ですら落ちてしまうかもしれない。

 

もしそんなことになってしまえば、病院中での恥さらしとなってしまい、慶応病院での職はなくなり、その上愛しの芦田愛菜に嫌われるかも知れない。

 

それだけは防ぎたい鈴木福助教は一次審査がどのように行われるのか

独自の方法で調べることにした。

 

一方その頃、芦田愛菜准教授は、病院長室にいた。

 

ひげを毎日1mmのずれもないくらいキレイに剃っている病院長の部屋はさすがといえるほどキレイであった。

 

よく言えば丁寧、悪く言えば神経質。

 

芦田愛菜は、その部屋を見ながら

「こんな病院長だからこそ、粘り強い努力と精密な技術であらゆる研究を成功させ、ここまでのポジションを得たのであろう。」

と思った。

 

その病院長は、整ったひげを触りながら

「そういや君は次期教授戦に立候補するのかね」

と尋ねた。

 

立候補するのを分かっているくせに、わざと知らないていを取ってくる病院長に対して

「はい。立候補させていただきます。」

と率直に芦田愛菜は答えた。

 

「あ~そうなのか。そりゃ君が次期教授で間違いないだろうな。」

と病院長は、わざとらしくニヤニヤして言った。

 

「いやいや。そのようなことはございません。」とまたも率直に返事をするが

「だって君ほど人気がある医者はそうはいないではないか」とまたもニヤニヤしながら病院長はこうも続けた。

 

「ま、早いこと立候補に必要な書類を持ってきなさい。

君なら一次審査は当然大丈夫でしょう。」

 

芦田愛菜は

当然大丈夫でしょうという、あいまい言動や先ほどの言動から病院長が

自分に対して好意的では無いと察したが、よろしくお願いしますと言い、一礼をしてその場を去った。

 

その頃、鈴木福助教は看護師ルームにお邪魔していた。

 

看護師長から絶大な好感を持たれている鈴木は、看護ルームに入っただけでお茶とお菓子がすぐさま用意されていた。

 

鈴木がペロッとケーキを食べてしまったのを見て、次のケーキを持ってきながら

看護師長が

「福くん、循環器内科の教授戦に出るんだって!頑張ってちょうだい!」

とガッツポーズのふりをしながら言った。

 

鈴木は次のケーキを口に頬張りながら

「でも、相手が愛菜ちゃんだし、一次審査ですら落ちるかも知れないし不安だよ」

とアラフィフに入ろうとしているのに、幼稚園児みたいなだだのこねかたをした。

 

しかし、そのだだのこねかたがお婆ちゃん世代に突入しようとしている看護師長にバカウケしたのか

「大丈夫よ!私たち看護師長が福くんを応援したら、一次審査を通らせざるを得なくなるでしょ!安心して!」

と鈴木を満面の笑みで応援した。

 

「そうだね。ありがとう。」と喜びながら二つ目のケーキも食べ終え、

鈴木は立ち上がった。

 

「あらもう帰るの?もうちょっとここにいれば。」と言う看護師長に対して、

「じゃあ、もうちょっとここにいようかな。」と返した。

 

そして嬉しそうなする看護師長に対してこう続けた

「あと、聞きたいことがあるんだけど。

一次審査って看護師長も関与するの?」

 

「え、それは分からないわ。例年は何もしてないけど。」

「そうなんだ。でも立候補する際に必要な書類ってどこにいくの?」

「さぁ。そこまでは分からないわ」

「そうなんだ。。。残念。。。。」

 

どうやら看護師長が関係ないとすれば、

看護師長以上のポジションの人が一次審査をしているのであろうと考えた鈴木は

「ねぇ。看護師長さん。病院長に聞いてみてよ。」と幼稚園児みたくお願いしてみた。

 

「いいわよ~。今日会議あるし、その際に聞いてみるわ」と笑顔で看護師長は答えた。

 


 

 相変わらず芦田愛菜准教授の外来は人でいっぱいである。

 

AIを駆使した診察により診察時間を短くし、

その浮いた時間を患者さんとのコミュニケーションや、後輩医師の指導に回しており、

患者さんからの評判や後輩医師からの信頼は絶大である。

 

今日も「診断率100%」を誇る女性医師に診察をお願いする人が大勢おり、

絶対に誤診しないのでと言う女性医師は休む暇も無く働いていた。

 

12時50分頃に午前の外来が終わり、つかの間の昼休みに入ろうとしたら、

教授が芦田愛菜准教授を呼びに外来にきた。

 

「君、まだ教授戦の書類を出していないみたいだが、早く出しなさいよ。」

「すみません。今日中に出します。」と書類を書くフリをして言う

芦田愛菜に対し、

「そうかね。まあそれなら良いのだが。

ちなみに鈴木君はもう出したみたいだよ。

彼は本当に勇気があるよ。君と戦おうというのだから。」

と教授は本当にビックリしている様子で喋った。

 

「まあでも一次審査に応募したと言うことはそれなりの勝機が彼にはあるのかもしれないな。」

と教授は馬鹿にするような笑顔を浮かべた。

 

その頃鈴木は、麻酔科教授室にいた。

 

「これ、教授戦の必要書類です。」

「え、なんで私に?」

と驚きを隠せない様子をみせる麻酔科教授:安田顕に対して

鈴木はにやりと笑顔を見せ

「いやいや。病院長があなたに渡せと言ったのですから。」

と言った。

 

「え、病院長が!?」と驚きにより絶句した安田顕麻酔科教授に

「僕は知っているんですよ。あなたが一次審査の担当であることを。」

と鈴木は言い、安田は驚愕で口を押さえた。

 

看護師長が病院長に一次審査の件について聞いたとき、

病院長は自分の管轄では無いからとの一点張りだったのだが、

看護師長があまりにしつこいので病院のスタッフにお願いしているから大丈夫だと言ってしまった。

 

その発言だけで看護師長にとっては十分だった。

病院の内部事情なら看護師の右に出る者はいない。

看護師長はあらゆるネットワークを、そのスタッフをあぶり出した。

 

それが麻酔科教授の安田顕だったのだ。

 

しかも、おまけ情報まで手に入った。

 

「そういや教授は最近オペに入ってますか?」

と鈴木はにやりと薄気味悪い笑顔を浮かべながら聞いた。

「ああ、後輩指導のため入っているがそれがなにか?」

「そうなんですか。昨年の5月以来入ってないと思ってましたよ」

「。。。お前まさか。。。」

安田は驚きを隠しきれず目を見開いた。

 

そう。そのおまけ情報とは、昨年5月のオペで安田はミスをしてしまい、

患者さんに後遺症を残してしまったが、

それを隠蔽したのだった。

 

安田はもう全てを悟ったように

「鈴木君は、僕に何を求めている?」

と聞いた。

 

「そんな怖がらないで下さい。一次審査を通過させてくれれば十分ですよ。」

「なんだそんなことか。それなら大丈夫だ。」

「あと、芦田愛菜の一次審査で落として下さい。」

「なに?」

と鈴木を見る安田に

「じゃあ、例の話ばらしますよ」と脅しをかけた。

 

安田はしばらく考えた後「分かった。芦田愛菜の一次審査は落とそう。。。」といった。